ロゴスとミュトス

SEOやブログに関する考察ブログ

お金と恥と個人情報の重さ

www.continue-is-power.com

人事や総務関係の手続きについての問い合わせがある部署の責任者の方が、仕事内容についてこんなことを言っていました。 「退職金や有給制度など、お金に関わる問い合わせをしてくる人は、ほとんどが"匿名希望で…"と言ってくる」 なのだそうです。 日本人の国民性としてよく言われることの1つに「お金=汚いものだという価値観を持っている人が多い」というのを聞いたことがありました。

お金の話をするのは恥ずかしいこと? - 人生いつも三日ボーズ

金は不浄、という考え方は日本固有のものではない。
アリストテレスが「あたかも金に繁殖能力あるかのごとく、金に金をうませるは最も不自然なり*1」という言葉を遺したのも有名だが、考え方は古くから存在する。



【スポンサーリンク】



神とお金

複式簿記の歴史を書いたジェイコブ・ソール著「帳簿の世界史」より引用。


中世の銀行家や商人には罪の意識がまとわりついていた。聖アンブロジウス(三三七~九七年)は、高利はおろか利子をとって金を貸すこと自体を非難し、もらった以上にとることは罪だとした。
一一七九年に開かれた第三ラテラノ公会議は、高利貸しをキリスト教徒の墓地に埋葬することを禁じた。
高利は強欲の大罪と結びつけられ、強盗、嘘、暴力などと同罪とされた。
(中略)
富と信心の両方を追求する中世の商人にとって、利益は悩ましい問題だった。中世の商人は帳簿をつけていたものの、「最後の清算」を行うのが人間ではないことを片時も忘れたことはない。
第2章 イタリア商人の「富と罰」 銀行家と商人を悩ませた罪の意識

お金とは現世欲求の象徴。
この世の欲望を否定するところから始まる宗教からすれば、金貸しは不浄な存在。
しかもこの時代、金貸しでなりあがった人間は多かった。
稼げば稼ぐほど現世での暮らしは豊かになるが、あの世での暮らしはよくならない。

仏教においても金は不浄、穢れ。

資本主義である現代において現世欲求の象徴として金は存在し、だからどこかしらに恥の気持ちが存在する。
流行のミニマリズムで「お金は生きられる分だけあればいい」「お金に囚われない」発想が一部に支持されているが、そういう思考に宗教的な匂いがするのは、そういう現世欲求への否定という部分が根本で繋がっているからだろうと思われる。

帳簿の世界史 (文春e-book)

帳簿の世界史 (文春e-book)

個人情報の重さ

最近では、お金を稼ぐことは恥ずかしくない、額を公開するのも構わないと考えるひとも存在する。
教えたい、書きこみたい、広めたいと思うひとが自分だけが知る自分についての情報を書くのは一向に構わない。
けれど、額を公開することで何が得られるのかよくわからない。

個人情報を守りましょうと言われる一方で個人情報を書きこみたくて仕方がない人びともいる。
電話番号を書きこみ、名前や銀行口座を晒し、実名で悪口を書きこむ思考は理解しがたい。

個人に関わる数値、情報に関する捉え方はひとにより異なる。
それは実名/匿名論争にも表れているが、要は個人に関する情報それぞれの重みづけが違うからに他ならない。

あるひとは、実名や電番をネットに晒しても一向に構わない。
あるひとは、実名も電番も晒したくない。
それぞれが自分のやり方が正しいと思っていて、相手のやり方が間違っていると否定するが、それぞれに利点も欠点もある。
生まれも育ちも違う、社会的立場も違うのだから個人の持つ情報の価値・捉え方に差があるのは当然。
個人に関する情報が、一律の価値観で扱えるわけがない。

コミュニティ

ただ上記リンクのYoshiki氏の書くような

「退職金や有給制度など、お金に関わる問い合わせをしてくる人は、ほとんどが"匿名希望で…"と言ってくる」
お金の話をするのは恥ずかしいこと? - 人生いつも三日ボーズ

こういう自分の収入に関わる制度的な話は実名でも構わないと思うけれど。
労働は、その対価を得るため日々リソースを割いている。

ただ退職金や有給などに関しては、社会的風土よりも社風やコミュニティ内の関係性の要素も強いのではないかなという気がする。

会社は、コミュニティであり閉鎖的な側面が強い。
人間関係を考えれば、匿名でという気持ちもわからなくはない。
自分は構わなくても相手がどう思うか、社内でどう思われるかわからない
匿名で。
 
  
“ここでは水着を着てもいい”場所があったとしよう。
そこにいるひとは、どちらも選択できる。
しかし普通の服を着たひとばかりで、水着のひとは一人もいない。
「ひとに見られるのは恥ずかしい」
「あえて水着になる理由や必要がない」

そういってみんな水着になろうとしない。
別に恥ずかしくなんてないのに。
 
 
秒速で億稼いでいるひとが、億稼いでいると書きたければ書けばいい。
時給800円で一日8時間労働のひとが年収を公開しても構わない。
それがウソでも捕まったりはしない。
 
togetter.com
電話番号を晒すのももちろん自由。
禁止されてるわけじゃない。
 
でも他人にそれを強要するのは違う。
 
 
なので電話番号もPVも収入も公開しません。
恥ずかしくないと言われても公開する理由も必然性も欲求もないので(繰り返しますが公開するのを好きなひとがやるのは自由)。

(fade out)

知らないと損する 池上彰のお金の学校 (朝日新書)

知らないと損する 池上彰のお金の学校 (朝日新書)

*1:The life of money-making is one undertaken under compulsion, and wealth is evidently not the good we are seeking

【スポンサーリンク】 /* ソーシャルボタン */